令和元年9月の話

 先日、ディズニーの映画を観ました。全編コンピュータグラフィック(CG)によって作成された「ライオンキング」という映画です。人間は一切登場しない動物だけの映画を、CGで作成するという発想。リアルにこだわり、アニメ映画のように動物たちの感情が分かるように、大袈裟に笑ったり、怒ったりの表情はつけないという製作会社のこだわり。まるで大自然の中で撮影されたような錯覚を覚えます。動物たちの世界に引き込まれたような楽しい時間を過すことが出来ました。
 動物のリアルな世界を描いた映画だと、「キタキツネ物語」という映画を思い出します。とても慎重なキタキツネの生態を撮影するため、機材に警戒させないようにするところから撮影は始まったと聞いたことがあります。全編の撮影には4年の歳月がかかったそうです。あるオスのキタキツネがメスのキタキツネとの出会い、家族を築き、子ギツネ達の独立までを大自然の中で暮らす様子や、人間からは害獣として罠をしかけられたり、キツネ狩りに狙われる様子をドキュメントとして編集された映画でした。当時、監督は「ディズニー映画のようにしたくなかった」とのコメントを発表しており、このドキュメント映画と、CGで作成された「ライオンキング」とを同列に比較することはできませんが、どちらにも動物たちの生きる姿を見ることが出来たように思います。
 実写の「キタキツネ物語」と比べてもそん色ないまでに仕上げられたCG撮影の「ライオンキング」。動物の些細な動き方まで緻密に再現できる現代の技術は、私たちの見る力をこえていると思います。「ライオンキング」では動物ですが、動物のかわりに人間を描いたとしても、CGで作り出された映像とは思えないでしょう。私の二つの目は何を見ることが出来るのでしょうね。目の前の出来事をちゃんと見ていると思っているのは、自分勝手な思い込みかもしれませんね。

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