平成29年3月の話

 日常生活の中であまり変わり映えのないことを「普通」と言います。この「普通」という言葉を辞書で調べてみますと、「特に変わっていないこと。それがあたりまえであること」と出ています。なんとなく感覚的には、私が思っていたこととほぼ同じ意味で安心したのですが、「普通」という言葉を肯定的に説明してほしかったのですが、「特に変わっていない」とは、「少し変わった」くらいでは、「普通」に含まれるのかな?とか、「あたりまえであること」とは、どんなことなのだろう?と、悩みが深くなりました。
 ところで、毎日見ている天気予報で伝えられる「平年気温」というもの。これは、過去三十年間の平均気温だそうです。この平年気温を参考にして、今年は寒いとか、暑いとかを考えるので、少し本来の「普通」とは違うところもありますが、平年気温を「普通」と考えていると思います。つまりは、平均値を「普通」と考えているとも言えます。
 平均値とは、バラつきのあるデータを全部合わせて、平たく成らしたものです。大体のデータの場合、平均値付近を中心とした山型の分布になり、平均値付近に最多分布をみることができます。これは、対象が数値だからですが、対象が私たちになると、平たく成らすことはできません。私たち一人一人が、普通という概念をもっていますので、最多分布帯の人たちの概念を「普通」と言いますが、それでは、最少分布のところにある人の感覚が、「異常」なのかと言えば、そんなことはなく、これもまた「普通」なのです。金子みすゞさんがうたわれたように「みんな違って みんないい」のです。最多分布帯の人の感覚が、社会的に「正しい」ことではありません。みんな違うのです。良くないのは、違う人たちを認めないことです。最多分布帯という数的優位から、数的弱者を認めない心が煩悩なのです。違う者たちが協力するからこそ、新しい時代を築くことができるのです。

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