令和6年2月の話

 今月の四月に築地本願寺で、親鸞聖人御誕生八百五十年と浄土真宗立教開宗八百年のお祝いの法要が予定されております。この法要のために正信念仏偈の新しい譜がつくられました。今までは、草譜、行譜、真譜、葬場勤行、十二礼の節の五つの称え方がありましたが、新たに「和讃譜」が制定されたのです。
 和讃譜とは、天台声明として用いられていた「十二礼(五念門)和讃譜」という節をもとにして、新たに制定されました。私が得度してからはじめて制定された和讃譜は、新しい節なのですが、どこか懐かしさを感じる所もありながら、新しい音の流れもあり、初めて聴いた時に、素敵な正信念仏偈ができたと嬉しく思いました。
 実際に新しい譜を練習すると、今まで身についていた「十二礼の節」や「行譜」とごっちゃになってしまい、和讃譜が身につくどころか、十二礼の節も調子がずれてしまい大変な思いをしました。

 最初は上手に称えられなかった和讃譜ですが、なんども練習しているうちに、次第に口になじんできました。この感覚って、子どもの頃、正信念仏偈の練習をしていて、「善導独明仏正意」から音があがって急にリズムがとれなくなっていたことによく似ていると思います。子供の頃は、失敗することを恐れることなく、うまく出来ないと何度でも何度でも挑戦していた気がします。いつの頃からか、失敗したら恥ずかしいと思うようになってしまったのですね。
 立春を迎え寒い冬もおわり、活動的な春を迎えます。なんにも挑戦しないで失敗なく過ごすことも悪いことではありませんが、失敗することを楽しむつもりで新しいことにチャレンジしてみては如何でしょうか。うまく出来ないと悔しい思いをするかもしれませんが、何度も何度も挑戦して達成できた時の気持ちは、チャレンジした人だけが味わえる最高のひと時です。

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