令和5年3月の話

 境内の紅梅にはじまり、徐々に境内にお花が戻ってきて春の訪れを教えてくれます。昨秋お寺の新しい仲間となったメダカさんが初めての越冬なので、いつも以上に春が待ち遠しかったです。メダカさん達が入っている水鉢も1月の寒さで氷が張って元気に泳ぐ姿が見えなくなっていたので、無事に越冬できるのかドキドキしていました。少し寒さが緩んできたら、ゆっくりと泳いでいるメダカさんたちと再会することができました。春の訪れ以上にメダカさんたちの泳ぐ姿に温かさを感じました。凍える寒さの中でも蕾の中は花を咲かせる準備をしている木々や、凍てつく水の中でじっとしていて水の温度が緩んでくるのをひたすら待っているメダカたちの生命力。大きな顔して生きている私たち人間は、寒さで体を丸めるばかりで、気温の変化になかなか気がつくことができないでいる。便利な生活と引き換えに、本来備えていた大切な感覚を失ってしまったのかもしれないですね。

 空前のペットブームを迎えているようで、何らかのペットと共に暮らしている方が多いようです。コロナ禍で生活に制限がある中で、安心して触れ合うことのできるペットは今まで以上に注目されたようです。様々なペットちゃんがいると思いますが、残念ながら言葉を交わすことはできません。言葉を交わすことは出来ないにもかかわらず、ペットちゃんや草花から私たちは温かいものを受け取ることができるので、ペットを大切にしている方が多いと思います。一方で、私たち人間は気持ちのやり取りをするのに、言葉を利用してお互いの思いを確認することができます。ですから、ペットや草花よりも、もっと温かいつながりを築くことが出来るはずなのに、この大切な言葉をもって他者を傷つけることをしてしまいます。お互いの気持ちを確認することのできる言葉という素晴らしいツールを持っているのですから、ペットや草花以上に人とのつながりを深めていきたいですね。

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