令和5年5月の話

 今から850年前の5月21日、平安時代末期、親鸞聖人は京都で御誕生になられました。貧しい貴族に御誕生された親鸞聖人は、平安末期の混乱した時期の影響で、九歳で出家得度されました。比叡山での厳しい修行の中でも仏になる道を体得できず、聖徳太子様の夢告にしたがい、法然聖人と出会い、阿弥陀如来さましか、仏になる道はないと私たちにお示し下さいました。

 法然聖人と共に京都で阿弥陀如来様のみ教えを布教していく中で、念仏弾圧を受け越後へ流罪となられ、法然聖人とも別れ別れになってしまいました。越後で7年程暮らしている間に赦免され、北関東の地へ移り住むようになりました。北関東ではおよそ20年間過ごされたのですが、その期間に、浄土真宗の教えを記された「顕浄土真実教行証文類」を51歳の時に書き上げられました。この書物の完成をもって淨土心証の立教開宗と定めているので、来年が立教開宗八百年となります。

 親鸞聖人御誕生850年と、来年の立教開宗800年のお祝いを一緒にして、京都の西本願寺で慶讃法要がお勤まりになっています。

本山が京都にあることから何となく距離感を感じますが、浄土真宗の根本となる教えが確立していったのは、北関東の茨城県笠間市のあたりにいらした頃と思いますと、親鸞聖人を身近に感じられないでしょうか。さらに、20年もの長い滞在でしたので、親鸞聖人ゆかりの地が北関東にはたくさんあるのです。

 来年には、今年本山でお勤まりになられたお祝いの法要が築地本願寺でお勤まりになります。800年という長い時間を超えて出合うご縁を頂戴したのが、「顕浄土真実教行証文類」であり、その中に収めれられているのが、「帰命無量寿如来 南無不可思議光・・・」といつも称えている正信念仏偈なのです。

 コロナの制限が解除されました。親鸞聖人の足跡を辿ってみると、今まで以上に身近に阿弥陀さまを感じられることと思います。

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