令和4年7月の話

 日本最古の仏像をご本尊として安置している長野県の善光寺様。コロナ禍の影響で公開が一年延期されていた七年に一度御開帳される前立ご本尊様へお参りしてまいりました。公開が残り十日ほどという時期でしたので、平日にもかかわらず、境内は参拝の方で大賑わいでした。善光寺様は、千四百年の歴史をもつ奈良時代に創建された寺院です。特定の宗派に属さず、現在は、天台宗と浄土宗の僧侶が交代で仏様をお護りしています。ご本尊は、百済から伝わった仏様で、一つの光背のなかに阿弥陀如来様と勢至菩薩様、観世音菩薩様が安置されている特殊な様式になっており絶対秘仏とされています。鎌倉時代の頃、この秘仏のかわりに前立ご本尊様が安置されるようになり、その前立ご本尊様の七年に一度の御開帳ですから、全国からお参りの方が大勢いらっしゃるのも納得です。善光寺様のお参りの十日程前に、幼馴染の友人から善光寺様へお参りに行くという話を聞きました。

お参りの日程を聞くと、私の予定と同じ日だったので、二度ビックリしました。

 私にも友人にも同行者がいたので、事前に当日の約束はしないで、会えたらいいねとの話で、それぞれお参りに伺いました。それがお参り当日、バッタリと出会うことが出来たのです。友人はもう帰るところで、私たちは着いたところというギリギリのタイミングでした。ほんのひと時でも友人と一緒に善光寺様へお参りが出来たことは、とても素敵な思い出となりました。

 友人と別れてゆっくりお参りしている時に、この参道を親鸞聖人も歩かれたのかと思うと時間を超えて善光寺様へのお参りを共有しているような気持ちになり、なんだか心が少し温かくなりました。諸行無常の流れの中で、移り変わりゆくもの、いつまでも変わらぬものとが巧みに混在することによって、先人の方々の足跡を辿る時、時間を超える一体感に何とも言えぬ安らぎを感じます。 

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