令和5年11月の話

 六月に生まれた孫の初参式に築地本願寺にお参りに行ってまいりました。赤ちゃんが生まれてひと月を過ぎたくらいから、体調の良い時に阿弥陀様に初めてお参りすることを「初参式」と申します。生後ひと月頃から暑くなってきたので、暑さが落ち着くころと思っていたら、十月になっていました。まもなく生後四ヶ月を迎えるので、抱っこするのにも抱きやすいし、気候的にも穏かな時期なのでなんの心配もなく、初参式のお参りに伺いました。最初はしずかに抱っこされていたのですが、讃仏偈のお勤めが聞こえ始めた頃から、めそめそし始めて、次第に大きな声で泣いてしまいました。坊守が着物を着て、赤ちゃんは祝い着を着せているので、お互い自由に動けず鳴き声はエスカレートするばかりで、讃仏偈が終わるまで、大きな声で泣いておりました。お勤めのあと、お導師から、赤ちゃんも大きな声で一緒にお勤めできて何よりでしたとお祝いの言葉を頂きました(笑)

 自分の子供たちの初参式の時は、生後ひと月ほどでしたので、抱っこしてても急に泣きだすかもしれない…、風邪をひかせちゃうかもしれないと…と、様々な心配な思いの中でお参りしたのが、今回は生後四ヶ月だから、免疫力も高くなってるし…、穏やかな気候の時期だし…、と高をくくってお参りにしたのが良くなかったですね。
 赤ちゃんにとっては初めてのこと、「初参式」なのですから、自分の価値観で、自分の都合の良いように考えていたので、思いもしない出来事に慌ててしまったのでしょうね。お導師にお話しいただいた「赤ちゃんも精一杯の声で、阿弥陀さまへお参りしたのですね」との言葉に、赤ちゃんの生きる力の素晴らしさを気づかせていただきました。この赤子にはこの赤子の人生を歩いていく力があることを大きな声で知らしめてくれたのですね。阿弥陀様にもその声がしっかりと届いた、かけがえのない初参式となりました。

 


   

 

 

 

 


 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)