平成29年12月の話

 移転延期となっていた豊洲新市場ですが、いよいよ、移転の時期も決まりそうですね。その新市場の前に客席が360度回転するアラウンドシアターという劇場が出来たそうで、公演中の「髑髏城の7人」という舞台を観てまいりました。客席が動くとはどういうものかと思っておりましたが、1000席くらいある客席が360度回転するのです。舞台セットが整っている向きへ座席が回転するので、セットの転換がとてもスピーディーに感じ、プロジェクションマッピングの映像効果と音響効果で、舞台と映画を合わせたような新しいスタイルの観劇体験でした。肝心のお話は、全国統一まであと僅かの織田信長が本能寺の変で倒れてから八年後、忠誠を誓っていた家臣たち3人が、亡き君主の遺志をそれぞれに受け取り、思い思いの生き方を描いたお芝居です。織田信長の人間性は、「鳴かぬなら 殺してしまえ ほととぎす」という句が有名で、破壊者というイメージが強いですよね。
家臣たちの生きざまを通して、織田信長の生き方も垣間見えて、本当に破壊者というイメージが正しいのかなという思いになりました。お芝居のお話なので、設定などはフィクションで、座席が回転するという舞台装置の相乗効果もあると思いますが、私の今までの知識では想像することのできない世界でした。
捨之介という主人公が、劇中に何度か発する決め台詞があり、「浮世の義理も 昔の縁も 三途の川に 捨てのすけ」と自身のことを話します。私たちは、知らず知らずのうちに、両手にたくさんのものを掴んで、放すことが出来なくなっているのだなぁと考えさせられました。両手で荷物をたくさん持っていたら、新しいものを取ることも出来ないし、誰かと手をつなぐことも出来ません。そして、手と手を合わすことも出来なくなります。日々の暮らしの中で、たくさんの人に出会い、たくさんの物を手にすることでしょう。でも、手を合わせることも忘れてはなりません。 

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