令和6年6月の話

 自動車免許の取得に必要な検査に「深視力」というものがあります。普通自動車の免許には必要ありませんので、今まで検査したことがなかったのですが、先日、自動車教習所の講習の中で、深視力の検査をする機会に恵まれました。深視力とは奥行きの感覚を調べる検査です。検査機を覗くと、三本の棒が見えます。外側の二本は固定してあり、真ん中の一本が前後に移動します。真ん中の棒が横の棒と並んだところでボタンを押すという検査方法だと説明を聞いて、実際に検査機を覗くと、三本の棒が見えるのですが、真ん中の一本が移動しているようには見えないのです。私が戸惑っている様子が、検査技師さんに伝わったようで、検査機を横かる見るように促されて、横から見ると、確かに真ん中の棒が前後に移動していました。理屈は分かっても検査機を覗いても、真ん中の棒が移動しているようには見えません。そんな状態で検査してみると、20ミリくらいのズレがだったり、50ミリのズレがでたりで、三回の平均で20ミリ以内のズレが合格ラインなので、散々な結果になりました。普通自動車の運転には必要のない検査なので、教習所の方も、深視力の検査には慣れも必要なので、今日の結果は気にすることはないですよと慰めてくれましたが、大型自動車を運転している方々は、この検査を合格した上で、普通自動車の何倍もある大きな自動車を運転されているのだと、運転技術の差を実感する出来事になりました。
 教習所の方がおっしゃるように特殊な検査なので日常生活には支障ないので気にすることはないのですが、自分の眼には、三本の棒が見えているのに、その動きが見えないという事実は、大きなショックとなりました。50年以上、自分の眼でしっかりと物事を見て判断してきたはずなのに、見えない世界が確実にあったことに不安を感じた時、阿弥陀様が見ていてくださることの有難さを身をもって痛感しました。

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